忘れていた感覚を刺激するものに出会った時、
ドキドキすることがあります。
国立近代美術館で見かけた作品は、
正直言って私にはほとんど響くところがありませんでした。
でも、書いてあった言葉、
「当たり前と思われていることを疑問視し、見る人の価値観を揺るがすもの。それがアート。」
この感覚はすごくわかりました。
例えば、先日ドキドキするような桜の屏風と出会いました。
山間部の川下り。散った桜が絨毯みたいになって、
川の両側をピンクに染めていました。
桜の花の1つ1つに光が差して、キラキラとした表情を見せていました。
確かに散った桜が、湖のや川の水面に浮かんでいるところを見たことがあります。
でも、それにぐっとフォーカスをして力強く描かれていることで、
改めてその美しさをより、リアルに感じることができたのです。
例えば、先日は食パンを描いた作品に出会いました。
遠くから見たときは写真かと思うようなリアルな感じで、
少し近づいていくと、だんだんとその食パンの粘りのような食感が、
本物以上にリアルな感覚として描かれていることがわかりました。
写実的というよりは、その質感にフォーカスして力強く描かれたもので、
美味しそう、という感覚はこういうところから来たのかと、
再認識させられるような、感動がありました。
このどちらにも共通するのは、
忘れていた感覚が、記憶と結びついて強く呼び起こされる感じです。
そのリアルさは、私がこれまで桜や、パンに対して抱いていた価値観を
揺るがすような感動がありました。
それは私がまさに写真でやりたい、と思っていることです。
人を撮るとき、カウンセリングをすることで、
その人が感じているリアルな自分、
そして、そこにその人が忘れていた感覚や記憶、
本人が気づいていない絶対的な魅力についても、
表現できたらと思っています。
自分自身に対する価値観を揺るがすもの、
それはその人にとって、これからの自分を探したり、
自信につながる、キッカケになります。
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