2014年11月20日木曜日

写真1枚に込めること

私が制作する写真作品は、ひとりにつき1作品です。

でも撮影は人によって違いますが、100枚以上になることが多いです。
枚数についての規定は設けていません。

なぜ1枚に絞るのかというと、
自分で納得できるような「最高の1枚」を持つことが、
その後のご本人の人生にいい影響があると思うためです。

たくさん撮るので皆さん迷われますが、
その中で絞った写真は、特別な1枚です。
たくさんの写真を持っていても、
結局その後の人生で再び眺めたいと思うのは気に入った1枚です。

写真をしまい込むのではなく、
自分の部屋にお気に入りの絵を飾るように、
作品として飾りたくなるよう、
背景のイメージも作り込んでいくことで、
特別な1枚に仕上げています。

どんなイメージがいいか考える工程も、
自分自身を改めて見つめる大切な時間になると考えています。


また、写真は仕上げの工程も重要で、
プリント時の色味や、肌の質感の仕上げ方法、
背景のデザインで、
ぐっと表情を引き立てることができます。

写真はありのままを写すものですが、
写真特有の癖のようなものがあります。

目やお顔立ちは印象的に引き立てて写せる反面、
写真は実物よりも、傷跡や実際にはあまり目立たないはずの、
シワやざらつきなど肌の質感がくっきりと写ります。

せっかく表情が気に入っていても、
そういったところが目についてしまうと、
本来の魅力が伝わりにくくなります。

私は作品としての完成された1枚をお渡しすることを、
大切にしているので、当日撮影した時のご本人のイメージや、
魅力をより忠実に表現できるよう仕上げています。

そういう意味で写真はデータのままでは未完成です。
ずっと残る大切な作品としての、
ご本人のイメージを表現した1枚をお渡ししたいという気持ちから、
その他のデータはお渡ししていません。

ただ、どうしても絞り切れないという方や、
全身、上半身、背中などといったそれぞれに違う部分を
残したいとのことでしたら、
3~5枚セットのアルバムもしています。
その際アルバムにする写真の色味や肌などは、
整えて完成した形でお渡ししています。


撮影したものは、まだ半分くらい未完成です。
あとの半分は、その後の工程によって完成となります。


そのくらい1枚の写真に込められるものは、大きいと思っています。


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