私が制作する写真作品は、ひとりにつき1作品です。
でも撮影は人によって違いますが、100枚以上になることが多いです。
枚数についての規定は設けていません。
なぜ1枚に絞るのかというと、
自分で納得できるような「最高の1枚」を持つことが、
その後のご本人の人生にいい影響があると思うためです。
たくさん撮るので皆さん迷われますが、
その中で絞った写真は、特別な1枚です。
たくさんの写真を持っていても、
結局その後の人生で再び眺めたいと思うのは気に入った1枚です。
写真をしまい込むのではなく、
自分の部屋にお気に入りの絵を飾るように、
作品として飾りたくなるよう、
背景のイメージも作り込んでいくことで、
特別な1枚に仕上げています。
どんなイメージがいいか考える工程も、
自分自身を改めて見つめる大切な時間になると考えています。
また、写真は仕上げの工程も重要で、
プリント時の色味や、肌の質感の仕上げ方法、
背景のデザインで、
ぐっと表情を引き立てることができます。
写真はありのままを写すものですが、
写真特有の癖のようなものがあります。
目やお顔立ちは印象的に引き立てて写せる反面、
写真は実物よりも、傷跡や実際にはあまり目立たないはずの、
シワやざらつきなど肌の質感がくっきりと写ります。
せっかく表情が気に入っていても、
そういったところが目についてしまうと、
本来の魅力が伝わりにくくなります。
私は作品としての完成された1枚をお渡しすることを、
大切にしているので、当日撮影した時のご本人のイメージや、
魅力をより忠実に表現できるよう仕上げています。
そういう意味で写真はデータのままでは未完成です。
ずっと残る大切な作品としての、
ご本人のイメージを表現した1枚をお渡ししたいという気持ちから、
その他のデータはお渡ししていません。
ただ、どうしても絞り切れないという方や、
全身、上半身、背中などといったそれぞれに違う部分を
残したいとのことでしたら、
3~5枚セットのアルバムもしています。
その際アルバムにする写真の色味や肌などは、
整えて完成した形でお渡ししています。
撮影したものは、まだ半分くらい未完成です。
あとの半分は、その後の工程によって完成となります。
そのくらい1枚の写真に込められるものは、大きいと思っています。
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